2023.01.03
投句コーナー
~R4.12.31 T.H 様~
初笑ひまだお迎えの兆しなく
[選評:昔から「笑う門には福来る」と言われ
笑うことはめでたいこと、元日をニコニコと笑って
過ごすことによって、一年間健康で幸せに暮らせること、
間違いありません。
明るい気分にさせてくれる、良い俳句です。
女将]
遠浅にただ波を聴く初詣
[選評:恵方に当たる社・寺に参詣されての帰り道でしょうか。
穏やかな日差しのもと、岸や磯に打ち寄せる波音を聴く
静かで落ち着いた優しい人柄の句。
女将]
係船に声かけてゆく小正月
[選評:一月十五日は小正月。
花正月、望正月とも言われています。
観光客で賑わう芦ノ湖のほとりの風景ですね。
女将]
~H28.8.30 T.H 様~
ジャムの瓶テラスの月に眠らせて
ゴンドラの嶺につらなる星月夜
~H28.8.29 T.H 様~
台風の登りきったる八里かな
~H28.8.27 T.H 様~
ケーブルの駅に秋暑のベルが鳴る
~H28.8.26 T.H 様~
秋の湯をしづかに満たし溢れしむ
コスモスのかこむ足湯に集ひけり
噴煙の裾より立ちぬ秋の風
~H28.8.25 T.H 様~
虫すだく夜の湯の里の駅の椅子
~H28.8.24 T.H 様~
雁の声かするる宿の夜空かな
初秋や鉛筆削る肥後守
ミシュランの宿へ急かるる秋日和
~H28.8.23 T.H 様~
台風過八里の月を生みにけり
台風の過ぐや八里を深うして
~H28.8.21 T.H 様~
風染めて湯の香にほのと鳳仙花
~H28.8.13 T.H 様~
秋涼し強羅に映ゆる草木染
[選評:暑かった夏が過ぎ、秋の訪れをそっと告げてくれるような句
真っ青な空の色。色とりどりの草木染めが秋の湯に
かすかに揺れている光景。
強羅温泉での旅の一句でしょうか。
旅情をかきたてる魅力的な一句。
語感もさわやか。
女将]
~H28.7.14 T.H 様~
万緑や箱根の宴に灯がともる
[選評:新緑、若葉、青葉、万緑と初夏を迎える野山は、つややかな若葉、
青葉が重なり合って鮮やかな万緑の世界となる。
緑の多い箱根山、木々の間に点在する宿やホテルや別荘。
夕鍋のひととき、静かに灯りがともる。
ほのぼのとした情感に身をひたしてくれる句。
女将]
~H28.6.14 N.D 様~
青葉して外輪山の大文字
[選評:若葉よりいくぶん夏も闌けた感じのする句。
大文字山は毎年八月十六日に行われる大文字焼き、
盆の送り火として箱根全山の精霊の冥福を祈るために
行われる夏祭り。
なだらかな外輪山の斜面に浮く大の文字、
六月の半ばになると青葉に囲まれる。
やはり実際見ていなければこの様なうたは詠めない。
句の調べもしっかりしていて、とても良い句です。
女将]
~H28.5.27 S.M 様~
天ぷらに若葉一枚粋な宿
[選評:美しい緑色…。
見た目にも季節がそこにあり美味をそそぐ一句。
やわらなか楓や柿の若葉を一枚敷く。
盛り付けにもこだわっています。
女将]
湯治場の長き坂道余花の雨
[選評:箱根の春は遅い。
初夏になってもまだ咲き始めるハコネコメザクラ。
大涌谷から引いている温泉坂を利用しての掛け流し。
若葉交じりの雨にそっと咲く余花。
つつましやかで趣のある句。
「こんな時期にこの坂で再び花に会えるとは」
と、お客さまは云う。
懐かしさと意外性を含んでいる一句ですね。
女将]